ユニコーンやら電気グルーヴやら筋肉少女帯やらSMAPやらお芝居やら

コリオレイナス

先週に続いて今週もうっかり、蜷川幸雄さん演出、主演が唐沢寿明さんのコリオレイナスを観に行きました。

バレンタインってこともあって、満席とまではいかない客入り。それが幸いしたのか、ワタクシが座った席は驚愕の1列目。

生唐沢さんカッコヨスで惚れて帰ってきましたよ(笑)

シェークスピアのローマ物。これがまた日本人の心では理解しがたい心の動きとかあって難しかったんですが、ギリシャ悲劇よりは納得できましたよ。←オレステスはホントに不条理だった

生唐沢さんもカッコヨスだったんですが、生勝村政信さんがすっごくカッコヨスでビックリ。とてつもなくイイ声でした。

あらすじは↓の引用をお読みください。

 紀元前5世紀初め、共和制に移行したばかりのローマ。食糧不足のため、貴族たちに不満を募らせるローマ市民。その中でも特に目の敵にされているケイアス・マーシアス(のちのコリオレイナス)はヴォルサイ人との戦闘に参加。都市コリオライの城内に一人閉じ込められ傷を負いながらも、敵の指揮官オーフィディアスとの一騎打ちのすえローマを勝利に導く。

 ローマに帰還したマーシアスは英雄としてたたえられ、陥落した都市の名前にちなんでコリオレイナスの称号を受ける。コリオレイナスは執政官に推薦されるが、執政官になるためには謙虚のしるしであるボロ服をまとい広場に立ち、傷あとを見せながら市民に了解を得なければならない。コリオレイナスはその慣習に強く抵抗するが、周囲の説得によりしぶしぶ慣習に従う。無理やり愛想をふりまき彼は何とか市民の賛成を得る。しかし彼の失脚を狙う2人の護民官のそそのかしによりその賛成は撤回され、逆に彼は反逆罪で訴えられてしまう。市民と対立するコリオレイナス。彼は母ヴォラムニアの説得により市民に謝罪することを了解するものの、護民官の狙いどおり途中で癇癪を起こしてしまい、民衆の敵としてコリオレイナスはローマから追放される。祖国への復讐の念に燃えるコリオレイナスは宿敵オーフィディアスのもとへ。自分を追放した連中への仕返しのため、オーフィディアスに協力を申し出る。二人は和解し友情を誓い、共に戦う仲間となる。

 ローマ領に攻撃をしかけるヴォルサイ軍。慌てたローマ側はコリオレイナスに和解を申し出るが、彼はかつての友人さえも無視しローマ侵略を続ける。しかし彼の母、妻、息子までもが嘆願に訪れ、さすがに心動かされるコリオレイナス。和解を受け入れローマの兵を引き揚げる。ヴォルサイ軍内でどんどん存在感を増すコリオレイナスを疎ましく思い始めていたオーフィディアスは、彼がローマと和議を結んだことに憤慨。裏切り者としてコリオレイナスを責め、殺してしまう。コリオレイナスが生き続ければ危険な存在になったと言いながらも、その生涯を称えるオーフィディアスであった。

引用元:http://www.saf.or.jp/p_calendar/geijyutu/2007/p0123.html

この愚民どもめがっ!

一言で感想を言うとこんな感じ(笑)

コリオレイナスは根っからの軍人で、戦わずして平和で楽しい暮らしを望む平民の気持ちはわからないし、のうのうとしてる貴族も大嫌い。自分の信念に素直に生きる男なんだけど、その愚直ともいえるまっすぐさが災いして結局命を落としてしまいます。

ある意味、まっすぐだけじゃダメなのねって話なのかも。

この物語の中でまっすぐだったのはコリオレイナスだけ。

彼を育て、彼の中で絶対的な存在の母ヴォラムニアだって、息子のことを思いつつも、息子の自分への思慕につけこんで、戦いを和睦に持ち込んでしまいます。コリオレイナスの嫁はいつも泣いてばかりだし。

ローマの平民たちは兵士たちが血を流して国を守ってるからこその平和な暮らしなのに、自分たちに対する態度が失礼だって、コリオレイナスを批難するし、貴族たちは平民たちとの関係を穏便に保ちたいがためにコリオレイナスに「平民に頭を下げろ」と言う。

国を追い出され、復讐に燃えるコリオレイナスを迎える宿敵オーフィディアスも最初は「昨日の敵は今日の友、命を賭けあった者同士だからこそ親友にもなれる」みたいな感じだったのに、どんどん手柄と称賛がコリオレイナスに集中するとだんだんとやっかんできて、最後は勝てる戦いを和睦に持ち込んだコリオレイナスを裏切り者!いつかこの男は何かしでかす!って殺しちゃう。殺してから泣きながら称賛するんですよ。

ううむ。そりゃ、コリオレイナスも怒るって。

でも、いろんな立場の人に向かってイロイロと根回しをして争わないようにするのが政治ってもんだし、民衆の意見を聞いて国事をすすめるのが民主主義ってもんだし、コリオレイナスは独裁者になりかねない存在だし、あからさまに相手を見下した態度では正しいことを言っていても通じないだろうし、まあそれぞれの立場の人間がやってることは正しいような気もするけど納得いかないって感じで。

英雄!と持て囃されても出る杭は打たれる、民主主義も民がどうしようもなければ倒れる、やってることは正しくて言ってることも正論であっても受け入れられないこともある。

なんだか今の世情と重なるところもあったりして、考えさせられるお話でした。

今回、メインセットは階段。階段と鏡を上手く使ったセットでステキでした。

蜷川さんの舞台って毎回セットが楽しみ。

あと、衣装もステキでした。ちょっと和のテイスト入りで。

唐沢さんはすっごい顔小さくて、細い感じなんだけど、よく動いて、殺陣が超カッコよかった。

気が強くて、自分より劣る人間に頭下げることが大嫌いで、そんな人間に自分が持ち上げられのが大嫌いで、思ったことをズケズケという、尖りまくったコリオレイナスでめちゃくちゃカッコいいのです。

間近でみるとホントにカッコいい。ムダがない。

そう、蜷川さんの舞台にはムダがないんですよね。

どの役者さんにもムダがない。すごく動く。

セリフは結構噛んでたんですが(笑)

いやー、衣装がね、スカートみたいな長いローブに首のあたりには布を巻いて…っていうね、あああああ、カトさんに着せたい…って思ってしまう衣装でした。←腐

頭小さいし、肩幅あるし、あのテの衣装は絶対似合う。

顔もね、あのテの劇には似合うイカつさ。←苦悩顔は似合うと思う

でも、あと10キロ痩せて、動けるようにならないとダメだろうなあ。

今の状態だときっと「カッコいい悪役」とかはできないだろうなあと思いました。

そのかわり「気持ち悪い悪役」は速攻できると思います。ええ。

池鉄さんの「気持ち悪い部」に入れると思います。それはそれでニッチな感じでいいと思うんですよね。

どうかなあ。

体型がどうにもならんのなら、演じるモノをそれに合わせるっつーのは。

あと、声ね。

後期局長みたいに腹からの声ならなんとか…。

猿のカナキリ声はちょっとダメかなあ。