リア王。
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
演出:蜷川幸雄
作: W・シェイクスピア
翻訳:松岡和子
リア王という話を全く知らないまま見に行ったので気合い入れてみました。
平さんの正気と狂気の王様はスゴくて圧倒されました。
ほんのちょっとの読み違いでずぶずぶと足下からすべてが崩れていく王様。
狂気に逃げ込まないとやっていけないくらいに酷い顛末でした。
そして、最後も救われない。
こんな話だったとは_/乙(、ン、)_
悪い女2人リーガンとゴネリル、とよたさんと銀粉蝶さん。
これまた素晴らしい。本当にイヤな女たち、そして、女の業を見せつけられた感じ。
あんだけ狡猾に親を陥れたのに、結局、男のために身を滅ぼしてしまう。
強いんだか弱いんだか。
そして、悪い男エドマンドの池内さん。
超カッコいい。この話に出てくるいい人たちはすっごい簡単にコロっと騙される人たちばかり。
で、悪いヤツは本当に狡猾。
池内さんはすべてがカッコよかったなあ。身体も立ち居振る舞いも台詞もカッコよかったです。
最期も悪人らしい最期でした。
吉田さんと瑳川さんはさすがの2人。
リアに仕えつくすケントとこんなにいい人なのになんで…なグロスター。
どうしてそうなんですか…って感じなんですけど、お2人とも素晴らしい。
迫力でした。
いい人でした。
騙されていたとはいえ自分を疑った実父が真実に気付き、悔いてる姿を側でみているってのはどんな気持ちだったんでしょうか。目をつぶされてしまって息子の姿もわからないのですが、何度か自分は息子だと言い出したかったと思うのです。でもしない。
それくらい、いい人でした。
道化は山崎さん。
そうそうそう。パンフとか観ないまま見始めたので、最初、道化が山崎さんってわからなかったんですよね。席遠かったし。
道化もいいヤツだったなあ。ホントいいヤツだった。
道化が居てくれて、リアはどんだけ慰められたか…って思ったですよ。
道化も道化できっと横柄なリアが好きだったと思う。狂気に逃げ込んだリアはその頃の面影はないけど、道化はリアのこと大好きだったんだろうなあ。
で、道化とリアを観て「ああそうか、乱ってこれか!」って思い出したんですよ。
そうそうそう。
池畑さんがやった役が道化だったんだよねって。
不器用だけどいい人だったコーディリアに内山さん。
なんとなく一本調子だったので残念。
でも、不器用で一本気な感じはあってたかも。
もうちょっと器用ならリアを救えたんでしょうが、残念…。
最後まで酷いっていうのは、ベニスの商人もそんな感じ。
あっちは喜劇なんだけど、シャイロックに対する仕打ちはそりゃあ酷いもんでした。
こっちは悲劇だからさらに酷い。
なんでこんなに酷いんだろう。
人の心の中にそういうものがあるからシェイクスピアは書いたんだろうけど。
ステージのセットと衣装も話の重さに比例するかのように重い感じ。
でも、衣装のロングコートがとてもステキでした。
本当にステキだったなあ。
シェイクスピアが書いたお話はほとんど読んだことがなくて、すべて蜷川さんの舞台で知るという今日この頃。
またなにかあれば観たいです。
ぜひ、観たい。
先立つものがある限り(笑)