魔法の万年筆。
2007年6月3日日曜日 14時開演 渋谷PARCO劇場
パーカー:稲垣吾郎
デルタ:西牟田恵
ペリカーノ:三鴨絵里子
セーラー:久世星佳
モンブラン:山崎 一
エルバン:小林隆
舞台は1920年代のニューヨーク。若者がアメリカンドリームに憧れてる時代のお話。売れない小説家パーカーが「いい万年筆さえあれば傑作が書ける」と、デパートに万年筆を買いに行ったところから物語は始まります。
そこでデパート店員が薦めてくれた5ドルの万年筆、その万年筆こそパーカーを売れっこ小説家にしてくれた、魔法の万年筆だったのです。
その万年筆が引き起こす悲劇と喜劇。
翻訳劇のようなオリジナル劇なのはきっとちょっと懐かしめのコメディにしたかったからかしら。
暗転のときの音楽とか歌とか、ちょっとオフブロードウェーのミュージカルっぽい感じでした。
感想を結論から書くと、各キャラクターはお話が進むにつれどんどんと愛着が沸いてきてとっても愛しくなったのに、最後がイマイチ納得できないというか、オチなかった…、という消化不良な感じ。
ホントにね、
Σ(・ω・ノ)ノ
って終わりかたなのですよ。残念。
殿下演じるパーカーは上昇志向はあるんだけど、ヴァージニア〜のニックみたいに狡猾というか賢いズルさみたいなのはなくて、ラクしてイイ目みたいなーみたいな、ちょっとおバカなところがある人でした。
誰かの感想で「とっても可愛いコメディエンヌでしたよ」ってあったのですが、そんな感じ。
WSなどで流れた、ぴょーん!ぴょーん!ぴょーん!のトコなんか足が乙女飛びになってました。
可愛いんだけど、やってることは結構酷くて…。それが最後の悲劇に繋がるワケですが。
他の演者のみなさんも喜劇を力いっぱい盛り上げていて、すっごい体力いる芝居だろうなあって感じでした。
ホントにねえ、各キャラクターみんな愛しくて愛しくて…。
というわけで、ネタバレあり感想は↓で
今回滑り込みで取れた席はまさに滑り込みな最後列だったのですが、PARCO劇場って想像以上に小さいハコだったので、全然オッケーでした。
全体が見渡せたし。←あまり前だとついつい目の前に釘付けになって、いろいろ見切れるので
会場にはスマステからのお花もありました。テレ朝ドラマ制作部からお花来てたんですが、なんかドラマがあるんでしょうか…(0゚・∀・)
みたにんからのお花は小林さん&阿南さん宛でした(笑)
いやー、ホントに可愛いパーカーさん。
もう一度、大阪で逢えるなんて幸せです。楽しみ。
デルタのおかげで魔法の万年筆に出逢い、売れっ子になったパーカーは憧れの小説家モンブランに見込まれて、モンブランの娘のセーラーとお見合いをします。娘と結婚してくれたら、イロイロ面倒見るし、小説を売るのだってまかせておきたまえ!と言われ、パーカーはあと1週間で結婚するはずだったデルタを捨て、セーラーと結婚してしまいます。
で、外面のいいパーカーは結婚するときはとても知的で好青年な感じでセーラーとお話してたのに、結婚し、万年筆のおかげもあってベストセラー作家になりもてはやされるようになってから、ワガママ傲慢な青年になってセーラーを呆れさせてしまいます。
あげく、モンブランの息子のパイロットを都合のいいように使い、接し、ちょっと小バカした態度をとるのです。
セーラーのお兄さんであるパイロットは才能はあるハズなのにイマイチな小説家の卵。
父親のモンブランはそんな息子にちょっと期待しつつも結果を出せないことにガッカリして、遺言で財産をパーカーに譲ると書いてしまい、不慮の事故でなくなってしまいます。
が、死者の霊を呼び出す魔法を体得したセーラーによってモンブランの霊が現れて、実は遺言はもう1通あり、そこには「ただしパイロットが3作続けてベストセラーを出したら財産はパイロットのモノとする」と書いてあるんだと告げます。
父はやはり息子にがんばってもらいたかったのです。
で、ある日、パーカーは大切にしていた魔法の万年筆をなくしてしまい、スランプだといってバカンスに出掛けてしまいます。
パイロットと共に飲みにいったときになくしてしまったのです。
万年筆を失い、すっかり書けなくなってしまったパーカー。
ところが、その万年筆をうっかりパイロットが手にしてしまったのです。
遺言のことを聞いて、その万年筆で小説を書くぞ!と書き始めるパイロット。
あっという間にベストセラー作家に…。
と、このままずっとあらすじになってしまいそうですが(笑)
この莫迦息子のパイロットがホントにいいヤツで可愛いんですよ。
自分が書けないのわかってるから、しょーがないじゃん!って言って、素直にパーカーのことを褒め、すごいと言います。
妹のことも好き。お父さんに対してはちょっと申し訳なく思っている感じ。
だけど、第2の遺言を聞いて、お父さんが自分の事を思ってくれている事を知り、小説を書こうとするのです。
人いい感じとすっとんきょうな感じと弱い感じがとてもいいバランスで、ワタクシ、役者な河原さんは初めて見たのですが、よかったです。すっごい動ける人だし。
そんな、ふがいなかった兄を思うのはパーカーと結婚したセーラー。
怪しげな団体の集会に参加して、お父さんの霊を呼び出します。
その儀式の様子がおもしろくておもしろくて(笑)
久世さんがこんな素敵なコメディエンヌだったとは!!
背がスラっとして姿勢がよくて、いい家のお嬢さんって佇まいなのに、どこか抜けてておもしろいんです。
パーカーの言葉を借りるなら、魔法の万年筆なんてものはなく、自分が誰かに愛されてると気付いたとき、その幸せな気持が小説を書かせてる…という感じ。
万年筆はそのキッカケ。
それに気付いて、パーカーはデルタを捨てたことを後悔します。
後悔して、謝ります。
その最後に、なんと万年筆を奪いに来たパイロットに殺されちゃうんですよ!
工エエェェ(´д`)ェェェエエ工工
この急展開。
あげく、最後にデルタが魔法の万年筆でデルタとパーカーの名を書くと、いきなり起き上がり、歌い踊って(笑) 再びパッタリ倒れて、ジ・エンド。
スパーーーーーンと物語を切られた気がして、こっちはビックリ。
いや、その歌い踊る殿下はステキで可愛かったんですよ。
満面の笑顔で倒れていくし…。
でも、そのラスト。
デルタの立場は(笑)
パイロットがパーカーを殺しちゃうのもちょっと腑に落ちません。
まだセーラーがパーカーを殺しちゃうほうが納得です。
なんかね、最後が駆け足で駆け足すぎちゃって取り残されちゃいました。
そこまでのそれぞれのキャラがとてもよかっただけに残念。
途中、魔法の万年筆の奪い合いをする場面があるんですが、これがおもしろかったです。
きっと毎回毎回アドリブありなんだと思うんですけど、パーカー、セーラー、パイロット、ペリカーノ、ウォーターマンが取りあうんです。
キャッチ!キャッチ!って言いながら順繰りに奪い合う様はとても滑稽でした。
部分部分おもしろくて、というか、ラスト以外はよかったのに、ラストで取り残されて、ちょっと消化不良。
ただ、芝居の見方としればちょっと外道だけど(笑)殿下を鑑賞するにはとても楽しい舞台でした。
いやー、可愛いんですよ、パーカー。
歌ったり踊ったりするし、ぴょんぴょんはねるし、きゃっきゃしてるし。
コメディの殿下というと、ヨイショを思いだし、ちょいムリな部分もあるのか?!って感じなのですが、可愛さでカバーでした。
なんだか持ち上げたり、落としたりな感想ですが…。
殿下が可愛かったこと、河原さんがおもしろかったこと、久世さんがホントにステキなコメディエンヌだったこと、山崎さんがサイコーにすっとぼけてたこと、阿南さん・小林さん・西牟田さんがしっかり脇を固めてたこと、相変わらず三鴨さんは色っぽくて可愛かったこと、そんなこんなでそれぞれのキャラはとてもすばらしかったです。
そんなキャラとして愛しくなるような場面場面もよかった。
ただ…最後が…(´・ω・`)
ワタクシ的には腑に落ちなかったのでした。