ユニコーンやら電気グルーヴやら筋肉少女帯やらSMAPやらお芝居やら

朧の森に棲む鬼。

久々に新感線芝居を見に行きました。

久々つっても去年の吉原御免状以来なんですけど。←そんな久々でもないか

前回のは堤真一さんが主役でしたが、今回は市川染五郎さん(以下、染っちで(笑))が主役。

染っち主役のシリーズはもう5作めらしくて、別名「新感染」と言うのだそう。

実は、染っちってテレビドラマのイメージしかなくて、ヒゲの濃い兄ちゃんだなあ…な感じだったんですが、いやゴメンなさい。土下座してひれ伏して謝ります。

むちゃくちゃ歌舞伎役者しかも2枚目だったですよ。

すっごいカッコよかった。

今回のお芝居では染っちは最初から最後までヒールなんですよ。

すげー自分の欲に貪欲なヒール。

ヒール故の最期。

も、ホントにカッコいい。

染っちの相棒役が阿部サダヲさん。

で、劇中のもうひとりのヒールは古田新太さん。

いやもうね、サダヲさん、動く動く。そして、上手い。

イイ役なんですよ。で、おいしい役なんですよ。

なんだけど、目立ち過ぎない。これが素晴しい。

おいしい役って目立ち過ぎちゃうことが多いんですが、うまーくちゃんと脇なんです。

で、古田さん。

ワタクシ思いました。

デブでも動けるデブは許す。

って(笑)

今より全然細くって、新感線の看板2枚目半で、劇団の女性全員食ったってウワサだったころの古田さんも知ってるので、今のデブりっぷりってビックリなんですけどね、カッコいい。

今の古田さんは以前以上に艶っぽいのですよ、舞台の上では。で、動く動く。

素晴しい。

ついた肉は「貫録」とか「迫力」とかに変わっちゃうくらいにカッコいいのです。

いや、動けたらデブでもいいよ。←誰に向かって?

後ね、新感線メンバーで大好きな高田聖子さんが素晴しかったです。

いのうえ歌舞伎と言われる新感線芝居では歌が必ず入るんですけどね、最初に女性が歌ってたときはオケと歌声が微妙にズレてて、歌声がブレてて、ん?って思ったんですよ。

それが、高田さんの歌には全くブレがないんです。

とてもステキな歌声。

おちゃめさんなんだけど、気っぷが良くてイナセなのです。

いやー、よかった。よかったですよ。

帰りのエスカレータで「なんか途中から話見えたよねー」「んー読めたよねー」とか言ってたお姉さんが居たんですけどね、いいんです、いのうえ歌舞伎のいいところは広げた風呂敷を一気に畳んでくれるところだから。

毎回、設定は凝ってるんだけど、で、登場人物も多彩なんだけど、1本通ってるものははっきりしてて、痛快に風呂敷を畳んでくれるのがいいところだと思うのです。

だから、いいんです、読めても。

最期まで改心することなくヒールとして散った染っちがもんのすごくカッコよくて、買わないと決めていたパンフをうっかり買って帰ってきてしまいました。

夏の新感線いけるかなあ。すごいキャストだからムリかなあ。

ああ。

とある島国、とある戦国時代のお話。

農民あがりで戦で負けた残党兵から追い剥ぎしてるチンピラだったライが、森の魔物の「朧」と契約し、「オボロの剣」を手に入れる。弟分のキンタと共に都へ行って、欲望のままに口八丁で王の座までのし上がっていくライ。

のし上がるためにキンタまだ裏切ったライだったんだけど、最期にはキンタやライに陥れられた人間たちに追いつめられ、森で絶命してしまう。

脚本の中島さんによるとリチャード3世をモチーフにライを描いたそう。

最初のチンピラのときはフツーにそこらのあんちゃんなのに、どんどんとのし上がって、都の軍の四天王、そして、王様にまで登りつめたときには、とても威厳あるカッコいい人になってて、ホントに染っちは素晴しかったです。メイクのせいもあるんでしょうけれど、それ以上に立ち居振る舞いがどんどん変わってくんですよねえ。

あと、ところどころに歌舞伎の形っていうんでしょうか、そういうのが混ぜられてて、ハマってました。

森のオボロたちはライの命と引き換えにライの欲を叶えてやると言って、ライに剣を与えるんだけど、結局ライはオボロたちの思い通り、今まで自分が裏切ってきた人間たちに裏切られて自滅してしまいます。

最期の場面はオボロたちの思い通りになるものかと運命に抗うかのように斬られても斬られても立ち上がるのですが、絶命。

その場面は壮絶であり、やっぱり艶っぽい。いや、染っち素晴しかったよ、ありがとう。

古田さんはマダレという都の盗賊の頭領なんですが、実は女性でありながら都の四天王であるツナの生き別れの兄という役どころ。

最初は悪なんだけど、最後にツナが実の妹だと分かり、妹を助ける、ちょっといい人になってしまうのです。それに関しては、古田さんご本人もインタビューで「最後まで悪役でいたかった」と。

ワルなんだけど、見るからにワルなんだけど、ふっと笑いをとるセリフとか表情とかあって、さすが古田さんだなあって思いました。濡れ場も艶っぽくてよかった。吉原〜のほうが艶っぽかったけど。←あのときは極悪だったし

デブって迫力出た分、カッコいい役も迫力ある役もワルもハマってて、ステキでした。声がいいんですよねえ。

はー。

サダヲさんは莫迦だけど、腕っぷしは強くて、アニキ(ライ)のことが大好きなキンタという役。

アニキと一緒に偉くなってくことにワクワクしてたんだけど、結局、アニキに裏切られ利用されて、絶命しかかります。でも、助けられ、失明したものの、生き残り、最期はアニキと対峙して、アニキと戦います。

すっごく動いて、すっごく可愛くて、歌って、踊って、上手かったです。

ホントに目立つ役なんですけど、目立ち過ぎないんですよ。これが素晴しい。

キンタのセリフにとてもいいセリフがあって「俺はバカだから、バカにされることはあっても、人をバカにしたことはいっぺんもねえっ」って言うんです。

アニキのことを本当に信じて、唯一、アニキの味方だったのに、ライはそのキンタすら裏切るくらいにヒデー男でした。

いやー、他のキャストの方々も素晴しかったんですが、つらつらダラダラになるので割愛。

粟根まことさんも高田聖子さんも相変わらず上手くて、ホント素晴しかったんですよねえ。

はー。

いいもん、見れました。

席は3等席取っちゃったんで、3階の一番うしろだったんですけどね、松竹座ってとこは狭いので充分よく見えました。

全部で正味3時間(休憩30分を挟んで)だったんですけど、一気に見れました。

笑って、ホロリときて、いい舞台でした。

やっぱりいいなあ、新感線&新感染。