ユニコーンやら電気グルーヴやら筋肉少女帯やらSMAPやらお芝居やら

コンフィダント。

2007/05/10 シアターBRAVA!

いやもう、みたにんスバラシス!

すっごいよかったですよ。

楽しくて優しくて、そして、とても残酷な話でした。

出演者は

ゴッホ生瀬勝久

スーラ・中井貴一

ゴーギャン寺脇康文

シュフネッケン・相島一之

ルイーズ・堀内敬子

このメンツですもの、まちがいないです。

時は19世紀末のパリ。現代では有名な画家たちがまだ駆け出しの頃のお話です。

スーラ、ゴーギャン、シュフネッケル、ゴッホの4人は共同でアトリエを借りて絵を描いています。

スーラはだんだんと有名になりかけた頃、ゴッホはまだまだ全く認められてない頃、ゴーギャンは少しだけ名が知られた頃、シュフネッケルは美術教師をしながら絵を描いていた頃、のお話。

そこにルイーズという酒場の女性がモデルとしてやってきます。

彼女がやってくることで起きる変化とお互いの気持ちと立場が明らかになってくるお話。

前半はとても笑わせてくれて、後半から最後はホロリとさせてくれる、そんなお話でした。

なんつーか、とてもオトナな演劇でした。

見終わって、速攻、もう一回見たい、チケット取ればよかった…って思ったのは初めてでした。

ホントにすごくよかった。

中井貴一さんはみたにん舞台初参加なんだそうですが、素晴らしかったです。

マジメなんだけどコミカルでホントによかった。

この世には、どんなに努力をしても天才には敵わないと思わされる職業というモノが多々あります。

画家もそのひとつ。

努力でコツコツと「上手い絵」は描けるようになるけれど、天才が描く「すごい絵」は決して描けません。

この世には、天才と秀才とその他って3つの種類の人がいるような気がします。

天才はその名のとおり、非凡でものすごい才能を持って生まれてきた人。

秀才は天才のような才能はないけれど、コツコツと努力する才能を持って生まれてきた人。

その他の人は、才能はちょびっとしかないか、まったくない人。

物語の中で、ゴッホは天才、ゴーギャンとスーラは秀才、シュフネッケルは凡才、という位置づけのように描かれています。

これがまたなんつーか、残酷な設定というかなんというか。

ゴッホは絵の才能は天才なんだけど、人として生きていくことに関してはダメダメな人。

典型的な「かまってさん」で、俺はダメだーと悲観して、その度に「そんなことない、お前はすごい」と言われることで立ってられる人。

ゴーギャンは天才には及ばないけど才能があり、そして、人として生きていくことに器用でソツがない人。

いつもゴッホをなだめる役なんだけど、ゴッホに頼られることで自分は人としてはゴッホより上だと思ってる人。

スーラは理論派でマジめで、才能はあるけど天才ではなく、それを努力で埋める人。

アトリエでは出世頭で、他3人より自分は世間から認められてると思ってる人。でも、いい人。

シュフネッケルは美術教師であり、人並よりは上の絵を描くけれど、絵描きの才能があるわけでなく、上手な絵を描ける人。

だけど、凡人だからこそ、普通のいい人。

この4人がアトリエを借り、4人で絵を描き、いつか世界に認められるようになるぞ!と思っています。

ゴッホの変人ぶりに振り回されつつも、頼り頼られで仲よく絵を描く4人ですが、ルイーズがやってきたことでその関係が変わってきます。

というか「仲よく楽しく」のために隠していた心をルイーズが暴いていく感じ。

この暴れていく感じがいいのです。

最後は、スーラは自分のアトリエを持ち、パリで認められなかったゴッホはアルルへと行くことを決意。

ひとりでは生きていけないだろうとゴーギャンもまたゴッホについてアルルへ行くことに。

シュフネッケルはひとりアトリエに残ります。

何が胸にきゅんとくるかっていうと、才能のある人が自分よりもさらに才能のある人の作品を見てしまったときの、羨望と劣等感、そして、嫉妬がとてもよく現われていたところ。

才能あるゴッホには敵わない、その劣等感とか嫉妬とかに耐えきれなくなって、3人はバラバラに旅立とうとします。

でも、シュフネッケルは普通の人だから才能への嫉妬とかそんなことより、仲よく一緒に絵を描いていたいのです。

必死でひきとめる彼に他3人は「お前には絵の才能がない。俺達とは違うんだ」と言います。

酷く残酷です。

どうしてもっと早くに言ってくれなかったのかとシュフネッケルは嘆きます。

シュフネッケルは普通の人だから、ゴッホの天才さもよくわかってないし、ゴーギャンとスーラの嫉妬する気持ちもよくわからないのです。

ただ、なかよくみんなで絵が描きたいだけなのです。

もうねー、この他3人がシュフネッケルに「才能がない」とつきつける場面がねー、きゅーーーってきました。

現実って残酷なのね…って感じです。

三谷さんの書くお話って、度々、こういう現実は残酷なんですよってコトが描かれてる気がします。

カトさんが出た有頂天では膳武さんが「それくらいの才能いくらでもいる」って憲二に言うし、勝っちゃんはチカちゃんにソデにされるし。

みんなのいえでは建築デザイナーの英寿と大工の長一郎が嵐の夜に分かりあってたとき、それを共有できない直介が階段ところでウエエンって泣く場面があって、今回、シュフネッケルは直介に重なったんですよね。

いい舞台でした。

お話もよかったけど、役者さんが素晴らしかった。

あと、音楽が生ピアノ1台だけというのもよかった。

堀内さんの美声と生瀬・中井・相島お三方のパーフェクトな(笑)コーラスもよかった。

オトナな舞台でした。

1幕目と2幕目に分かれてたのですが、2幕目の頭で三谷さんが登場してバンドネオンの演奏をしてくれました。今回の舞台のテーマソングです。

友情報によると東京で1回やって失敗して、その後リベンジしたきり出てこなかったそうです。大阪初日サプライズだったみたいでラッキーでした。

味のある演奏でしたよ。

ワタクシは生中井さんを見るのは初めてで、中井さんが舞台でお芝居してるのを見るのも初めてだったのですが、あんなに上手いとは思いませんでした。

映像俳優さんかと思ってたのね。←浩市さんがご自分のことをそう言うのだった

スーラはマジメであまり自分を表に出せない人なんだけど、おちゃめさんで、そのおちゃめぶりがとても可愛かったのです。

中井さんを可愛い…と思う場面がくるとは!とビックリ。

でも、可愛いおちゃめな感じとマジメな感じの対比がすごくよかったんですよ。

ああ、もう一回見たかった。

でも、一回だけだって思って見るから集中したのかも。

舞台っておもしろいです。

すっごいお金かかるけど_/乙(、ン、)_