ユニコーンやら電気グルーヴやら筋肉少女帯やらSMAPやらお芝居やら

ストリングス。

やっと観に行ってきました、ストリングス。

いやーもう、ワタクシがこの映画の制作者だったらば、この世界の設定を思いついた時点で「やったーーー!」って思ったに違いないってな感じです。素晴らしい。

きっちりと「操り人形の世界」が出来てるから、監督に迷いがないような気がします。

4年もかかっちゃったよって言ってたって、しんつよが言ってましたが、4年かかってもブレがないのは世界がキチンとでき上がってるからなんだろうなあ…と感じました。

いやー素晴らしい。

肝心のお話とかは語ると完全ネタバレなので、区切って書きますね。

声に関しては、あまり演者の姿が見えてこない感じだったのでよかったです。

カトリさんはずっこい手であの声でやることを勝ちえましたが、今回、それがよかったんじゃないかと思います。

やりすぎちゃってないかしら?なんていらん心配をしてしまいましたが、今回はそれもなくてよかった。

哀しいヤツでしたよ、ガラクって。

ジーナもよかった。一番泣かされました。もうね、よかった。

ジータは色っぽかった。

ハルは最初のバカボンっぷりにビックリだったけど、だんだんと知らなかったことを知り、目覚めていくのがよかった。

他キャストのみなさんの声もよかったです。

アグラとかもよかった。アグラもどっちかっていうと小林さんっぽくない声だった。

市川さんは市川さんらしかったけど(笑) ←市村さんだった_| ̄|○

もーとにかく、糸で繋がり縛られている世界が素晴らしかったです。

もうね、ジーナが死んじゃう場面がね、ホントにホントに悲しかったんですよ。

少しずつ綻び切れていく頭の糸がね、ホントに悲しかったんですよ。

糸で繋がり縛られてる世界のお話なので、独特の決まりというか建物の造りというか、すべてのものがちゃんと「糸」と「人形」であることを考えられ造られてるところに、まず感心。

頭の糸が切れると死んでしまうとか、手が壊れたら付け替えればいいとか、新しい命の誕生とか。

子供が産まれるシーンもねえ、すごく感動したんですよ。

身体を父親が作り、母親の糸から枝分かれした糸が子供の身体に結ばれる。

もうねーすげーーー!!!って大感動。だから、エリトは子供の側にいて糸を結んでやりたかったろうなぁ、父親が子供に対してしてあげられる最初のことだよなぁって思いました。

ちょっとガラクを好意的に見る目線で考えると、ガラクは一応はアイケが出産することを知ってて、それが終わるまではジーナと一緒に牢に放り込んだのかなあって気がしたんですよね。

出産が終わると速攻別々のところに分けたし。

天から糸で繋がれてるから、門も牢もああいう作りで、造りモノで糸によって生きてるから、高いところから落ちてもなんとなく大丈夫なところがなんか不思議な世界でした。

生きてるけど、生物的な生き方じゃないんですよね。

戦士たちがたくさん死んだ(実は女子供が殺されていた)氷原では糸が凍ってしまって砕けたから命を落とし、最後の戦いでは糸に火を放たれ、燃え落ちてしまったから命を落とし、って、糸の世界に矛盾がないのがステキです。

ハルとジータのラブシーンもすごく雰囲気がありましたね。

ジータって人形自体がとても色っぽかった。踊りも色っぽかった。

ハルが捕らわれて吊り下げられてるのもね、なんかこう…。

あとは奴隷は働かされるだけじゃなく、パーツの補充に使われてるところがスゴかった。

エリトが選んだ奴隷の手をハルの手にするところの机になる人形とか、奴隷の手を自分の手にすることを当たり前のこととして受け取ってるハルとか。

などと、設定ばかりに感動してますが、肝心のお話はというと…。

密かに2004年に公開されたというオリジナル版を見てみたい…という気がしています(笑)

日本版としてローカライズされた時点でなんとなくちょっとヨーロッパな人の世界観が薄れてるんじゃないかって気がするんですよね。日本人っぽい作りっていうんでしょうか。

愛は世界を救うっぽい感じになっちゃってて…。

一番腑に落ちなかったのがハルが最後に「勝った」って言うところ。

なんか腑に落ちない。

ジータが「また居場所がなくちゃった…」って行って、もと居た場所に戻ればいい、って、追い出してしまった人々をまた受け入れるのはいいんですが、戦い死んでしまった兵士ってガラクが率いてたいたとはいえ、自分の国の兵士なわけで…。

このへんかなり合点がいかなかったです。

戦いとは無情なものだと言いたかったんじゃないのか…って。

ジータたちの描き方ももうちょっとこう…。

ヨーロッパにおける異教徒とかジプシーとかそこらへんの位置づけだと思うんですが、そういうのがもうちょっと前面に出ればなあって思いました。

オリジナルはもしかしたら、もっと民族とか宗教観の色が濃いお話だったんじゃ…って思ったりして。

ジーナに想いが通じないガラクは可哀想でしたね。

実はカーロの癇癪の犠牲になって醜い姿になってしまった感じなのに、まったくさっぱり受け入れられなくて、でも、ちょっと優しいのね。

頭と左手だけになって這いずったシーンとか回想で入らないかなぁと思いつつも、そんなことがあったのなら、のほほんと王位継承しちゃいそうになってるハルが憎いだろうなあと思いつつ。←まあ逆恨みなんですが

醜い姿だから受け入れられないのかと、奴隷から補充した戦士の身体になっても、結局受け入れられず、戦場に行くしかなくて、最後は燃えて朽ちてしまうって、なんか可哀想だった。

この人もまた犠牲者なのかー、誰かに自分が繋がってるってことがわからないままに死んじゃうのかー、って。

糸がそれぞれを繋げているのか、縛っているのか、って感じなのですが、誰かに縛られたり、繋がったりしてるからこそ「生きてる」って感じなのかなあ、近づきすぎると子供たちの糸みたいにこんがらがっちゃうのかなあとか、この糸の世界って深いーーー!って、すっかり監督の手のひらの上で踊ってしまいました。

むっちゃ好きな世界なんですね、きっと。

だからなおさら、オリジナル版が見たくなりました。