Love,30
Love,30ってお芝居を見に行きました。
不器用な大人(over 30)の恋の話。
突然思い立ってチケット取ったので、席も後ろの方だし予備知識も全然なしだったのですが、ちょっとした話3本って感じでよかったです。
ものすごく激しい起伏のある話じゃないけれど、あるあるって思わされる、そういう話。
そういう話書ければいいなあ。
どれもこれも、ハッピーエンドでは終わらないんだけど、なんかよかったです。
好きって気持ちのイロイロっつーか、大人になってしまった故の動けなさとか。
ホロリとイイお芝居でした。
離婚した夫の元に出戻ろうとする元妻とその離婚の痛手からやっと立ち直り新しい彼女を家に招こうとしている夫の会話劇。
元妻は再婚相手と離婚されて追い出され、行き場を失ってしまう。
で、夫にちょっと甘えよう思ってるんだけど、新しい人と出会いその人のお陰で気持ちが立ち直りかけてる夫を見た妻は甘えることなく帰っていく、それだけのお話。
だけど、いいんですよ。
離れてみて、相変わらずの夫を見て、元妻は夫のいいところに改めて気付くんです。
気付いてしまって、だからこそ、去って行く。
その「去って行く」感じがよかった。
結婚相談所に勤める女性とそこに相談しに来るしがないサラリーマンの会話劇。
一見、なんの接点もなさそうな2人なのですが、実は彼は彼女の高校の初恋の人。
書類を見て気付いた彼女、今でもその初恋の人のことが忘れられずにひきずってるために恋をしてもうまくいかなかったのです。
でも、あんなにステキだった彼は、今、どうして?っていうくらいダサいサラリーマンに。
あんなにキラキラしていたのに何がアナタをそんなに変えてしまったの?と思う彼女。
紹介した女性とのデートも「ハチ公前で待ち合わせ、その後、マックでデート」に呆れられ振られてしまいます。
でも、彼が相談しにくる度にどんどんと彼のことが気になってしまう彼女。
そのことをとある電話相談所に電話相談します。
彼のことがこんなに好きなのに何故私は言い出せないんでしょうと切々と相談します。
相談所の彼はそんな恋に振り回される声だけの彼女のことがだんだんと好きになっていきます。
ある日、結婚相談所に来た彼は好きな人ができた、僕は彼女のためなら変われそうな気がする!と彼女に言います。
好きと言いたいのに、そう言われてしまい、さらに好きとは言えなくなってしまう彼女。
そのことを電話相談所に相談し大泣きします。
実は初恋の彼の仕事はその電話相談所の相談員。
彼はますます声だけの彼女のことを好きになって行きます。
彼が好きになればなるほど、彼女は悲しくなり、でも、仕事柄、本心とはウラハラに応援してしまう。
しかも、彼のマックデートのルーツは彼女が学生時代に匿名で出したラブレター「先輩のことが好きです。ハチ公前で待ち合わせして、そして、マックでデートする。それが夢です」だったのです。
変わったのは彼じゃなくて、私だったのね…。と気付く彼女。
結局、言い出せないまま、電話相談所の彼に大泣きしつつも振られちゃった!と報告します。
彼は彼で本当に好きな人に振られてしまった彼女に好きと言い出せず、なぐさめながら彼女のことを諦めるのでした。
すれ違いでアンハッピーエンド。
彼女が言い出しさえすれば!って感じなんですが、言い出せない気持ちもわかるのでした。
彼が彼女に言い出せないのもわかる。
好きな人が恋してたら応援してしまう彼女と、恋に振り回され自分の気持ちに素直な彼女を好きになった彼。
その「言い出せない」感じがよかった。
第3話は生瀬勝久さんとYOUさん。
このコンビが見たくて、ふと観に行ったんですが、よかったです。
弟の葬式のために田舎に帰ってくる兄。
それを迎える弟の嫁。
実は兄弟と嫁は幼なじみでよくつるんでた仲。
でも、弟の結婚を機に兄は東京へ行ってしまい、なかなか帰ってこなくなってしまった。
久しぶりね…という嫁。なぜかその嫁に謝ってばかりの兄。
よそよそしい感じの2人。
何にも言ってくれずに突然逝っちゃったのよ、という嫁。
ゴメン…という兄。
本当に久しぶりね、なんて言いながら、嫁は弟が兄に伝えてくれと言った言葉を伝えます。
「トンカツ取り換えた」
?な2人。なんだろう?という2人。
さらに昔話をしてるウチに兄はハタと気付きます。
「そうか…トンカツ取り換えたか…」
そう言って帰ろうとします。
そこで嫁爆発。
なによ!どういう意味よ!一人で納得しちゃって!
兄弟2人ともなんにも言ってくれないじゃないの!
3人が学生の頃、よく近くの定食屋さんでご飯を食べてた。その定食屋のトンカツ定食はカツの大きさがいつもマチマチだった。
学校を卒業して就職する兄と田舎に残る弟はある日、2人で賭けをした。3人でトンカツ定食を頼んで、カツの大きいほうが彼女にプロポーズしよう。
いざ、定食が運ばれてこようとしたとき、兄は丁度、トイレで席を外していた。戻ってきたときにはもう運ばれてて、弟の前にあるカツのほうが大きかった。
兄は彼女を諦め、弟は彼女にプロポーズして結婚したのでした。
だから「トンカツ取り換えた」
弟のトンカツが大きかったのは弟が取り換えたから?
そーか、そうだったのか…と情けない顔で笑う兄。
素直に俺は諦めたのに「取り換えた」のか…。
そこで再び嫁爆発。
なによ!2人で勝手に決めちゃって。あたしが田舎から東京に行きたいって言ってたの知ってたクセに!
勝手な決めごとであたし、あの人と結婚して、あの人、肝心なことは何も言わずにまた勝手に逝っちゃって、なんなのよ!あたしは!
でも、思い出すウチに気付きます。
トンカツ取り換えたのは彼女だった。
お兄ちゃんいないから、アナタ大きいのにしちゃいなさいよって。
そのことに気付いた彼女はあははって笑いながら、なんだーあたしが選んだんだ。
そっかー。って。
そして、兄もそうだったのかーって。
弟が取り換えたのではないことで納得した兄と、自分が取り換えちゃったことで納得した嫁。
雨の中、東京へ帰る兄と見送る嫁、それで終わるのでした。
いやもう、この2人はなんつーか、間が見事。
すっごい笑わせられながらも、なんかちょっとホロリときて、最後は納得みたいな。
お互いに、人に選ばされたんじゃなくて、嫁は自分で選んだことで納得し、兄は嫁が選んだんだったら仕方ないと納得し。
あー、あるかもね、そういうことって思わされる3本の話でした。
よかった。
やっぱり、最後のが一番よかったかな。
ホントに間がよかった。