まとまったお金の唄。
大人計画芝居2回目。
またもやうっかり見に行ってしまいました。どうやら松尾スズキさんの芝居はツボにくるようです。
いやー笑った笑った。おもしろかったー。
阿部サダヲさんがヒカル、市川美和子さんがスミレという姉妹の役。
舞台は大阪。大阪万博の頃。
貧しき家庭の物語。
阿部さんはパワフルで、美和子さんは可愛くて、宮藤さんは哀しき悪投で、荒川さんはたくましい母で。
最初はこの荒唐無稽っちゅーか無茶苦茶な設定についていけるのか?!と心配でしたが、最後はムリヤリ納得というか、不思議と落ち着くというか、かなり前向きな気持ちになって、清々しく会場を後にしました。
松尾スズキさんのお芝居はあうみたいです。
要所要所でツボに入るのです。
キレイに続いて、妊娠だ生理だって、独特の女性観があるような気がするのだけど、それすらも納得なラストでした。
コネタ満載でおもしろかったです。笑える自分は昭和の人間だ!って思いました。
↓(以下ネタバレも含む感想)
きゅーーーーーんと来たのは、おかあちゃん(荒川良々)がボケてきて、おとうちゃんが死んだことを忘れるところ。
おとうちゃんは死んじゃってるのに、おとうちゃんのためにお風呂沸かさな!って言うと、必ず、同居人の神木くんが「おとうちゃんは死んだんや」って思い出させるのです。
そのときにおかあちゃんが「うちは何回も忘れてしまうから、おとうちゃんは何回も死んでしまう。この悲しい気持ちは毎回本当なのに」って泣くのです。
荒川良々のおかあちゃんがいいんですよ。
おとうちゃんの借金背負って女手ひとつでヒカルとスミレって姉妹を育てるおかあちゃん。
クリスチャンで借金踏み倒すことなくひたすら返済してるおかあちゃん。
お話は大阪万博時代のお話で、カクマルやら内ゲバやら学生運動やら、そこから女性の権利を主張する運動の話からなんやらかんやらと、ちょっと思想入ったっぽいもの満載なのですが、どれが正しいとかない世界になってるので、結構すんなりとお話に入っていけます。
松尾さんのお話って、そこが好き。
どの思想もいいとこダメなとこがあるって感じで描かれてるので押しつけがましい感じがないし。
クリスチャンなのに靖国神社にお奉りされちゃったおとうちゃんが心配…っていう、おかあちゃんの気持ちもわかるし(笑)
長女として育てられたけど、実は女子じゃなかったヒカルという驚きのオチだったりするのですが、最後は「これはこうであれって、こだわらなくてもいいんだよー」な感じがあって清々しいのです。
次女のスミレはスミレでレイプされたり、その子供を死産したりと、かなり悲惨な境遇だたりもするんだけど、やっぱり逞しく生きている。
ラストは被害者も加害者も誰も彼もが一緒に歌ってたりして、なんか不思議な空間が。
キレイのときもそうだったんだけど、主役が阿部さんだと宮藤さんってその裏の主役みたいな感じなんですが、今回もまた酷いヤツなんだけどなんか哀しいヤツっていう感じが伝わってきてよかった。役者の宮藤さん、イイなあ。
それでも僕らは生きている。という感じがするお芝居でした。
それが丁度、いろんなものが右肩上がりよってな感じの大阪万博という時代にあっててよかったです。
濃いキャラいっぱいな大人計画なのに、お腹いっぱいにならない感じがとても好きです。
※ヨシヒコさんと復活してたんですねえ。いいことです。やっぱりなんかとても変わるキッカケになったというか、カトさんの人付き合いのスタンスがちょっと変わったんじゃないかと思います。ウッチャンとも飲みに行ったりしてるよーですし。いやーよかったよかった。